アユ釣りを始めた頃、川で釣るアユに種類があることを知りました。
海やダムで生まれ、シーズンになると川に遡る天然遡上のアユ。それから、各県が水産試験場などで育成し放流する人口産のアユです。
海産、湖産、人口産で追い方にもそれぞれ特徴があります。今回は、なぜ天然遡上の河川が人気なのか、また人口産アユとの違いについても解説します。
初心者の疑問 天然遡上のアユを釣りたい理由は?
天然遡上のアユとは?
天然遡上のアユがいる河川と、そうでない河川には違いがあります。
まず、河口から上流にかけてダムや大きな堰がないことです。
現在ではダムや堰にも、アユが遡上する際の通り道となる魚道設備がありますが、
春先に魚道に水量が無い場合は機能しないこともあるようです。アユの遡上に人的建造物の阻害がないことが前提ですが、遡上時期に下流から汲み上げた稚アユを、中流域や上流域に放流する漁協もあります。またダムで生まれ、河川に遡上するダム湖遡上のアユも天然遡上のアユです。
人口産のアユとは?
人口産のアユは各県の水産試験場の種苗センターで、何代も人の手で育てられた(継代飼育)の鮎のことを言い、さらに海産アユ等を掛け合わせた種苗(稚アユ)を河川に放流します。
スーパーなどで販売されている、養殖と表示されている鮎も人口産です。
100%を天然遡上に頼っている漁協はほとんどなく、大半の河川で稚アユの放流が行われます。
放流する稚アユは、人口産アユと合わせて海産や湖産など他河川から購入したアユもあり、その割合は河川によって異なります。
このことから、天然遡上のアユと放流した人口産のアユが混じっている河川がほとんどで、その釣り分けは困難です。
天然遡上のアユと人口産アユの追い方の違い
ここでは、先述した人口産(継代飼育)のアユと、海やダムから溯上した天然遡上のアユとの違いについて説明します。
河川によって人口産の継代年数には違いがあり、F1やF2などと呼ばれますが、数字が小さいほど継代年数は若くDNAは天然に近いとされ、数字が大きくなればなるほど、逆が言えます。
人口産は、放流されるまでの飼育状況からか、群れでまとまって泳ぐことも多いのが特徴です。
また、はっきりとした根拠はありませんが、飼料を与えられる時間になると苔を食むなどとも言われ、石色が良くても時間にならないと掛からないなど、完全な放流河川は、アユの追い方に癖があります。
天然アユと、人口産アユの見分け方
天然遡上100%の河川はほとんどない訳ですが、人口産に海産や湖産などを掛け合わせた放流アユと、継代飼育の人口産アユとの見分け方があります。
掛かったときに以下を参考に確認し、引き方や追い方などの違いも確認してみてください。
掛かったアユを手に取った際、鱗のきめ細やかさなどの違和感もありますが、釣った際に一番分かり易い確認の仕方が、下顎側線孔数です。
アユの下あごを見ると、4対の小さな穴が並んでいますが、これが下顎側線孔です。
天然遡上のアユは下顎側線孔が4対きれいに並んでいますが、人工産のアユはこの孔の数が少なかったり、位置関係も不揃いになっていることがあります。
天然遡上アユの魅力
天然遡上アユの魅力は、引きの強さ、容姿の美しさなど様々だと思いますが、やはり根本的には自然のサイクルで遡上してきた鮎を掛けるということにステータスを感じる部分も大きいのではなかと思います。
放流が行われるようになって現在までの間、放流されたアユももちろんそのサイクルの中に混じっていますので、それを踏まえて考えると本当の天然鮎を釣るのは難しいのかもしれませんが…。