エギング経験者で、「ドラグ」というリールの機能は知っているけど、そのドラグがどんな役割を果たすのか、どのような調整をしたらいいのか、また初めて釣りをする人は、ドラグ自体が何か知らない方が多いのではないかと思います。
エギングリールのドラグ設定の基本
そもそもドラグとは何なのか?
そこでまず、エギングを前提として「ドラグ」とは何かについて触れておきたいと思います。
ヒットしたイカとのやり取りの際にリールを巻きますが、その際にイカとの引き合いがラインの引っ張り強度を上回ってしまったとき、ライン(道糸)が切れてしまう事があります。そこで、イカが走る引きの強さで不意のライン切れを防ぐ為に、機能するのがドラグです。
ラインに力が加わるとリールのスプールが回転して、ラインを送り出します。その機能の事を「ドラグ」と言い、またドラグによるラインの送り出しによって、ロッド(竿)への負荷の低減にも繋がっています。
ドラグは、エギングにとって重要な機能になりますので、以下で説明します。
エギング・リールのドラグ設定はどうして必要なのか?
ここでは、ドラグ設定の必要性について触れたいと思います。先にドラグとは何かで少し触れましたが、ラインへの負荷の低減、並びにライン切れを防ぐ事のほかにいくつかの必要性を解説します。
●イカのフッキング(イカの足に針をかける事)において、足切れを防ぐ事。
イカは触手でエギを触った後に、エギを抱きます。エギを抱いた時にロッドを引き上げてフッキング(アワセとも言います)を行いますが、この時にドラグを締めた状態でロッドを引き上げてしまうと、力が直接フッキング(針がかり)にかかってしまい、イカの柔らかい足がその衝撃で切れてしまう場合があります。
足切れを防ぐ為には、適切なドラグの設定が必要となります。
●主に春に出現する2kg~3kg級のアオリイカとのやりとり
大型のイカはジェット噴射による引く力が非常に強く、引き寄せる為にはイカに負荷をかけ弱らせるためのドラグ設定が必要です。体力を徐々に奪いながら引き寄せる為には、ラインの送り出しがやり取りのコツとなります。
ここで挙げた2つと先述したライン切れの防止、あわせて3つのポイントがドラグ設定の必要性です。
エギング・リールのドラグ基本設定
ドラグの設定はライン強度の3分の1から4分の1が基準と言われています。この基準はロッドが曲がった時に、竿のガイドそれぞれからラインに負荷がかかる事を考慮して算出されているようです。そこでドラグ基本設定の考え方として、上記を基本とします。
例えば、エギングで使用するPEラインの強度が11lb(約4.95kg)の場合、約4.95kgの3分の1である約1.65kg~4分の1である約1.23kgがドラグの基本設定値となります。
PEラインの強度は、使用する号数や各社のメーカーにより違いがある為、PEラインの号数やメーカーを変更をした場合は、その都度ドラグの設定も併せて変更する必要があります。
次に求めた設定値を元にして、ドラグを調整していきます。
ドラグ設定したい強度のオモリを用意します。オモリが無い場合は、オモリの代わりにペットボトルにドラグ設定強度分の水を入れて、ビニール袋に入れる事で代用できます。
ここまで用意ができたら、ロッドにリールをセットし、PEラインを通してから用意したオモリに結びます。そして、オモリが上がるか上がらないかの瀬戸際でドラグノブを回して設定します。
一般的に使用するスピニングリールでは、ドラグはつまみを右に回すと締まり、左に回すと緩むようになっています。
また、ドラグチェッカーというドラグ設定を数値化するアイテムも販売されています。このドラグチェッカーを用意しても構いませんが、約7000円~10000円程度と少し価格が高めです。
ここまで記載したことは、ライン強度から算出した基準値を元に設定したドラグ強度ですが、実際の釣り場においては、引きの強い大きいイカ、引きの弱い小さいイカと、かかるイカは様々である為、手っ取り早い、経験上での実践型ドラグ調整を紹介します。
ロッドにリールをセットし、ラインを通してエギを装着します。その後、海に向かって遠投し、エギが海底に着底したらロッドをシャクリ上げます。その時にドラグが「ジリッ」と少し鳴る程度までツマミを締めるか、またはドラグが緩めの状態で繰り返して締めて調整します。「ジリッ」と鳴るところまで調整ができたら、最後に気持ち少しだけツマミを締めます。これで調整は完了です。
ちなみに、ツマミを緩め過ぎてしまうとシャクリを入れた時に、ラインが必要以上に送り出されてしまい、エギを動かし難くなります。緩め過ぎず調整することで、エギがしっかりアクションするラインテンションをかける事ができます。
まとめ
エギングは、絶妙なドラグ調整が釣果を左右すると言っても過言ではありません。とは言うものの、ドラグの機能や調整の必要性をしっかり理解されて釣りをされている方が少ないのも事実です。
ドラグ調整はエギングでの釣りにおいて腕の見せ所であり、絶妙なドラグ調整ができるようになると、エギングがさらに深く、また面白くなると思います。
ドラグ性能はリールによってもラインの出方や、ラインの止まり方が変わります。初心者の方はエギングに慣れるまで比較的安価なリールでも構いませんが、エギングの経験を積み、ドラグ調整が釣り場でできるようになれば、ドラグ性能の良いリールを使用する事をお勧めします。